ご来館戴いたC.K様
本日は最高気温が20℃超えとなり、前庭にある残雪がより一層溶けるぐらいの春の陽気を感じる11時半頃に、C.K様のご来館を戴きました。
受付後、C.K様に「よろしければ、ご案内しますか?」とお尋ねすると、「よろしくお願いします」とのご返事で、ご滞在予定時間をお伺いすると、「お時間は大丈夫です」とお答えされたので、DVD映像(15分間)をご視聴して戴いた後、お時間をあまり気にせずにご案内をさせて戴きました。
「帯広製糖所模型」では、「帯広製糖所を背景として走行している十勝鉄道の白黒写真」をお見せしながら、「線路の下には一面に広がっているものがありますが‥、実は、これらは全部ビートなんです」とご説明しましたところ‥
C.K様は「えっ?」と驚かれて二度見されたご様子だったので、「白黒写真なので敷石のようにも見えますが、ビートです。お砂糖の工場ではこれだけ多くのビートが必要となります。帯広製糖所創業当時の1日当たりの工場能力は540トン、馬車運搬では1000往復以上に相当‥、馬車だと気が遠くなりますね」とお伝えしました。
「自社私鉄写真」では、「十勝鉄道の愛称であるとてっぽの語源」をご説明した後、「かつて運行していた十勝鉄道4号機関車とコハ23号客車は現在も大事に保存されているんです。廃線跡の遊歩道であるとてっぽ通りに…」とお伝えし、近くにお寄りの際は「ボランティアの方々のお掃除によってピカピカに輝いている2両の車両」を一度ご覧戴きますようお勧めしましたところ‥
C.K様が「実は宿泊していたホテルからとてっぽ通りを通ってビート資料館まで歩いて来ました。機関車も見かけましたよ。ビートも運んでいたんですね‥」とおっしゃったので、「えっ、歩いて来たんですか?」とお尋ねすると、「そうです。帰りはバスで戻ります。帯広神社でシマエナガの御朱印を戴きたくて‥」とのご返事でした。
私がお勧めするまでもなく、C.K様は「とてっぽ通り」から当館前庭の「工場前駅」までをご自身の足で歩かれて、かつての鉄路の長さをご実感されていたようでした。
「ビート模型」では、C.K様はビートを見たことがないご様子でしたので、「ビートは別名サトウダイコンと言われ、ダイコンかカブの仲間のように思われますが、それは見た目だけで、学術的な分類ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。ホウレンソウにも似ている茎葉部は収穫時に切り落とされた後、畑にすきこまれて緑肥になります」とご説明しました。
ビート根部からはお砂糖以外に、ビートパルプ、オリゴ糖製品、ベタイン(アミノ酸)、パン酵母(イースト)等も製造しており、ビートには捨てるところがないことをお伝えしました。
更に、「ビートを植えた後の作物は連作障害を防ぐため、ビート以外の作物(豆,麦,イモ)になります。この四品目でローテーションを組んで畑を替えていくのが十勝の輪作です」、「四品目の中で、特にビートは地中深くに根を張っていくため、後に植えた作物の生育が良くなるという副次的な効果もあるため、北海道畑作の輪作体系において欠かすことのできない重要な作物と言われています」とご説明しました。
「砂糖の国内生産分布」では、国内産糖における「てん菜糖(ビート)」と「甘蔗糖(さとうきび)」の生産割合はビート約8割、さとうきび約2割とご説明しましたところ、C.K様は意外そうなご様子でしたので、「実は世界的な生産割合は国内状況とは全く逆で、ビート約2割、さとうきび約8割なんです」とお伝えしました。
世界的なお砂糖の生産割合につきましては、2階の「休憩室」に展示している「世界の砂糖生産分布図」をご覧戴きながら、ご説明しました。
「12種類のお砂糖」では、「お砂糖は白色か茶色に見えますが、実は結晶は無色透明であり、光の乱反射によって白く見えるのです。雪やかき氷と同じように‥。当然、漂白剤は一切使っていませんし、そもそも、透明なものをわざわざ漂白する必要がないのです‥」とご説明したところ、C.K様は驚かれたのと同時にご納得されていました。
すると、C.K様が「茶色いお砂糖はあえて色をつけているんですか?」とお尋ねされたので、「ビート糖工場では色をつけているのではなく、糖液の加熱を繰り返すことによって色がつくのです。これはお砂糖は熱を加えるほど色濃くなる特性(カラメル化)によるものです」、「つまり、最初に白いお砂糖ができ、茶色いてんさい糖(当社では北海道まろやかてんさい糖)のようなお砂糖は白砂糖をとった残りの糖液からできます」、「お砂糖の工場では結晶を回収しようとして糖液の加熱を繰り返していますので、日々、糖液の着色との戦いを行っているんです」とお答えしました。
さとうきびからお砂糖をつくる工場の多くが粗糖(茶色の原糖)を精製して白砂糖をつくっていますが、ビート糖工場では全く逆の順番(白→茶)となります。
すると、C.K様から、「さとうきびからつくられたお砂糖とビート糖との味の違いはありますか?」とのご質問があり、「味の違いについては個々人の嗜好があって一概には言えませんが、品質は両原料からの製品は共に、光合成から生み出された自然物質のショ糖を高純度で精製しているので違いはございません」とお答えしました。
更に、「他に違いがあるとしたら、国内産糖か否かでしょうか。ビート糖は北海道産100%のビートから製造するので全て国内産糖となりますが、さとうきびからの甘蔗糖は国内産糖と海外から輸入した粗糖(茶色い原糖)からの精製糖に分かれます。それは各製品袋の裏面に記載されている原材料名で確認できますよ」と付け加えました。
歴史展示室では、明治・大正期の「エドウィン・ダンやクラーク博士等のお雇い外国人達の意見の相違‥」、「松方正義・正熊の親子二代にわたる挑戦‥」、「台湾(帝国製糖)と当社前身(北海道製糖)とのかかわり‥」等につきましてお伝えしました。
更に、昭和初期での「当社前身が行った原料駐在所設置、輪作奨励、酸性土壌矯正、農機具操作指導、病害虫駆除等による北海道農業の底上げに貢献‥」、「帯広・清水に次ぐ製糖所が北見と由仁ではなく、磯分内と士別に建設された理由‥」、「当社名変更(北海道製糖~北海道興農工業~日本甜菜製糖)に至った経緯‥」等につきましてご説明しました。
1階閲覧室では、「日甜アグリーン(てん菜糖業からてん菜産業へ)」の取り組みを分かりやすく表現した「アニメーション動画」をリピート再生しています。C.K様は非常に興味深くご視聴されていました。「糖蜜からナノセルロース」、「牛のゲップを減らすエサ(海藻カギケノリ)」、「天然肥料の液肥GB(ベタイン配合)」、「有機栽培用ぺーパーポット」等の全ての映像をご視聴されていました。
これら取り組みをより詳しく知って戴くように、「日甜アグリーンのコンセプトブック」日本語版をお渡しました。
(ご参考 アグリーンはアグリカルチャーとグリーンを掛け合わせた造語です)
当館の「ブログ」へのご協力をお願いしましたところ、快諾して戴きました。誠にありがとうございます。十勝トテッポ工房で買われたというトートバックをお持ちになられ、ビート模型の横にお並び戴いたところで、ハイ チーズ!
お伺いしますと、C.K様は帯広のグルメや公園散策を満喫されたそうです。「どうしてビート資料館に?」とお尋ねすると、「ホテルからますやパン麦音様に向かって歩いていましたが、ビート資料館前庭に工場前駅と線路を見かけたので来てみました。鉄道関係が好きなので‥」との嬉しいご返事でした。(本当に感謝!感謝!です)
最後に、C.K様から「説明を聞けて良かったです。大変面白かったです」とのご感想を言って戴きました。非常に有難いです。
本日はご来館して戴きまして、ありがとうございました。
つたないご説明にもかかわらず、耳を傾けて戴きまして、誠に感謝いたします。
今回の帯広旅行が思い出深いご旅行になりますことを願っています。
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