M.K様・I.K様のご来館を戴きました!

ご来館戴いたI.K様(写真左側)とM.K様(写真右側)

 

今日は急速に発達する低気圧の影響で「冬の嵐」となる予報で、まだ荒天前のお昼頃にM.K様(写真右側)とI.K様(写真左側)のご来館を戴きました。

 

ちなみに、帯広の24時間降雪量はなんと51cm、まさに季節外れのドカ雪でした。しかも湿って重く、風速も強まって道内各所に爪痕を残しました。

 

受付を終えまして、最初にお二人様にはDVD映像(15分間)をご視聴して戴きました。ご視聴後、映像展示室から出られたI.K様はビートにご興味深々のご様子で、早速、積極的なご質問が次々と‥。ビートにご興味を持って戴き、非常にありがたいです! 色々なご質問にお答えしつつ、各展示物のご説明をさせて戴きました。

 

まず、I.K様から「ビートの葉は捨ててしまうのですか?」とのご質問に対しまして、「農家様は捨てないで有効利用してます。かつては牛に食べさせてましたが、今は畑にすきこまれて緑肥となって次の作物の肥料になります」とお伝えしました。

 

更に、「ビートの次の作物は連作障害を防ぐため、ビート以外の作物(豆,麦,イモ)になります。この四品目でローテーションを組むのが十勝の輪作です。四品目の中で、特にビートは地中深くに根を張るため、後に植えた作物の生育が良くなるという副次的な効果もあるため、ビートは北海道畑作の輪作体系において欠くことができない重要作物なんです」とご説明しました。

 

次に、I.K様から、「ビートは美味しいですか?」とのご質問には、「ビートの根部は果物並みの糖分があるものの、エグミによって生では食べにくく、ホウレンソウにも見える茎葉部も苦味があり、共に食用としては厳しいです」とお答えしました。

 

ビート、すなわち甜菜(てんさい)は漢字で「舌に甘い(野)」と書きますが、実際に口にすると、「甘い」だけではなく、エグミなどの味も含んでいます。ですから、ビート糖工場ではエグミ等を石灰やイオン交換樹脂などでしっかり除去し、自然物質であるお砂糖(ショ糖)を高純度で精製していますとご説明しました。

 

すると、I.K様は「寒冷地作物のビートからお砂糖がとれるってわかった人はすごいですね」とのご感想を述べられましたので、「ビートの原産はカスピ海・コーカサス地方で、家畜飼料として利用されていたので、ひょっとすると牛の方が人間より早くビートの甘さを認識?していたかもしれません、もちろん確認することはできませんが‥」とお伝えしました。

 

更に「飼料用ビートから砂糖を最初に単離したのはドイツの科学者マルクグラーフで、この歴史的発見から300年足らず。一方、さとうきびが甘いことを認識したことを示す記録はアレキサンダー大王がインドに遠征した紀元前300年頃に残されています。数字としては同じ300年ですが、紀元前と紀元後‥。ビートはエグミのためなのか、お砂糖の原料として日の目を見るのがさとうきびと比べてかなり遅れてしまったのです」とお伝えしました。

 

しかし、その後、ナポレオンの大陸封鎖によってさとうきびのお砂糖の輸入が欧州で途絶えたことによってビート糖業が奨励されて欧州を中心として急速に広まったのです。ート糖誕生からわずか100年で、1000年以上の歴史を持つさとうきびのお砂糖生産量を追い越す程に急成長したことを付け加えました。

 

砂糖の国内生産分布」では、国内産糖における「てん菜糖(ビート)」と「甘蔗糖(さとうきび)」の生産割合はビート約8割、さとうきび約2割とご説明しましたところ、お二人様共に意外なご反応でしたので、「実は世界的な生産割合は国内状況とは全く逆ビート約2割、さとうきび約8割です」とお伝えしました。

 

世界的なお砂糖の比率につきましては、ご案内の一番最後に、「休憩室」の「世界の砂糖生産分布図」でご覧戴きながら、ご説明しました。

 

連続式滲出(しんしゅつ)塔第一号機の模型」では、さとうきびとビートとの製糖工程上における大きな違いの一つに糖分抽出法(さとうきびは圧搾法、ビートは滲出法)があるとご説明しました。

 

私から「さとうきびと比べてビートは組織が柔らかく、圧搾すると細胞壁が混ざり込んでろ過ができなくなるため、ビートの細胞を破壊しない様に温水で約1時間半かけて糖分抽出してます。この工程ではビートからお砂糖分を抽出するのと同時に、ビートからパルプの原料となる繊維分を取り除きます」とお伝えしますと、I.K様は「非常に効率がいい設備なんですね」と感心されていました。

 

ビートパルプ」では、「ビートからお砂糖分を抜き取って搾った繊維分から飼料を製造しています」とペレットパルプの実物をお見せすると、お二人様は実物をお手に取られて鼻に近づけられたりされて、「香ばしい香りがする」とのご感想をお持ちでした。

 

私から「香ばしいのは若干の糖液をふりかけているからです。でも、かりんとうの様にはとても噛めないと思います。すごく硬くて‥。水に浸しますと約3倍に膨らみ、それを牛が食べています」とご説明しました。

 

12種類のお砂糖」では、「お砂糖は白色か茶色に見えますが、実は結晶は無色透明であり、光の乱反射によって白く見えるのです。雪やかき氷やシロクマの毛と同じように‥。当然、漂白剤は一切使っていませんし、そもそも、透明なものをわざわざ漂白する必要がないのです‥」とご説明したところ、お二人様共に驚かれたのと同時にご納得されていました。

 

すると、I.K様からの「茶色いお砂糖のてんさい糖はどの段階でつくられるのですか?」とのご質問に対しまして、「ビート糖工場では最初に白いお砂糖ができ、てんさい糖(当社では北海道まろやかてんさい糖)のような茶色いお砂糖は白砂糖をとった残りの糖液からできます。これはお砂糖は熱を加えるほど色濃くなる特性(カラメル化)に依るのです。ですから、お砂糖の工場では結晶をつくろうとして糖液の加熱を繰り返しますので、糖液の着色との戦いを日々行っているのです」とお伝えしました。

 

つまり、さとうきびからお砂糖をつくる工場の多くが粗糖(茶色の原糖)を精製して白砂糖をつくっていますが、ビート糖工場では全く逆の順番(白→茶)となります。

                

北海道オホーツク産の北海道まろやかてんさい糖280g

(当社オンラインショップ等でお買い求めいただけます)

 

製糖工程の各糖液」では、ビートからの糖液を繰り返し結晶化した際の最終糖液となる糖蜜からは「結晶としてのお砂糖」は回収できませんが、当社では糖蜜を「クロマト工程」に供することによって「糖液としての糖分回収」をするだけでなく、「オリゴ糖製品(結晶ラフィノース製品や液状製品)」や「ベタイン(アミノ酸)」に分画して各々製造していることを付け加えました。

  

また、糖蜜は栄養のバランスが非常によく、当社では糖蜜を栄養源として「パン酵母(イースト)」を製造しています。特に、ドライイーストは日本国内で唯一、当社が製造・販売していることをお伝えしたところ、ご家庭でホームベーカリーを楽しまれているI.K様は「えっ、そうなんですか‥」と非常に驚かれたご様子でした。

 

更に、「実は北海道十勝産にこだわり抜いた製品もあります。十勝の清水町にある清水公園のエゾヤマザクラのさくらんぼから野生の酵母を抽出して製造したとかち野酵母です‥」とご説明し、ショーケース内にある同商品を示しました。

 

すると、I.K様から「とかち野酵母はどこで販売していますか?ぜひ買って帰りたいので‥」とお尋ねされましたので、「当社オンラインショップもしくは店頭、ビート資料館付近ではスズランボウル等でお買い求め戴けます」とお伝えしましたところ、I.K様は「ぜひ寄ってみます」と言って戴きました。(本当に感謝!感謝!です!)

 

とかち野酵母 インスタントドライイースト 分包タイプ5g×6袋

(当社オンラインショップ等でお買い求めいただけます)

 

ぺーパーポット」は当社が開発した革新的な紙筒移植法であり、この移植法によって生育期間の前倒しが可能となり、雪解けが遅い北海道のハンデを克服でき、ヘクタール当たりの収量が倍増したことをお伝えしましたところ、お二人様共に、「この技術は本当にすごいですね」と舌を巻かれていたご様子でした。

 

更に、私から「ぺーパーポット等はビート以外にも展開しています。ポットが自転車のチェーンの様に連結した形のチェーンポットはネギ類等の様々な蔬菜に多く利用されています。簡易移植機ひっぱりくんは小型・軽量なので、人力でもチェーンポットの移植作業は楽々です‥」とお伝えしました。

ひっぱりくん HP-16 チェーンポット専用の簡易移植機(サークル機工)

 

1階資料閲覧室」では、「日甜アグリーン(てん菜糖業からてん菜産業へ)」の取り組みを分かりやすく表現した「アニメーション動画」をリピート再生しています。お二人様は、「糖蜜からナノセルロース」、「牛のゲップを減らすエサ(海藻カギケノリ)」、「天然肥料の液肥GB(ベタイン配合)」、「有機栽培用ぺーパーポット」等の全ての動画を完全視聴され、ビートには未知なる様々な可能性があることに大変感心されたご様子でした。

 

当社のこれらの取り組みをより詳しく知って戴くように、「日甜アグリーンのコンセプトブック」日本語版をお渡しました。

 (ご参考 アグリーンアグリカルチャーグリーンを掛け合わせた造語です)

 

ご説明の後、当館の「ブログ」へのご協力をお願いしたところ、快諾して戴きました。誠に有難う御座います。

 

お伺いしますと、お二人様は「さとうきびを栽培されている県」からお越しの様でした。私から「どうですか、北海道の寒さは?」とお尋ねすると、I.K様は「向こうでは最高気温は25℃近くあるので、さすがに寒いですね。雪? 向こうでは見たことがありません」と北海道の寒さなどをご体感されていたようでした。

 

先日、十勝館内の陸別町では全国最低気温のマイナス24.7℃を記録しましたが、実にこの南北の気温差は約50℃、日本列島は南北に広いことを改めて実感しますね。

 

お二人様は北海道の道央方面には幾度か訪ねられたようですが、道東方面の帯広は今回が初めてのようで、十勝グルメやばんえい競馬などを楽しまれるそうです。

 

私から、「どうしてビート資料館に?」とお尋ねしますと、I.K様は「北海道だけで栽培されているビートに非常に興味がありました。今日は非常に勉強になりました。大変面白かったです」と言って戴きました。(本当に感謝!感謝!です)

 

本日はご来館して戴きまして、有難うございました。

つたない説明にもかかわらず、ご熱心に耳を傾けて戴き、誠に感謝いたします。

ビートやお砂糖についてより一層ご興味をお持ち戴けましたら、幸いでございます。

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7月5日(日)

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