ご来館戴いたN.N様(10/5午後撮影)
すっかり秋めいた秋空となりました10時頃にN.N様(写真)とR.N様のご来館を戴きました。
受付後、お二人様に「よろしければ、ご案内しますか?」とお尋ねすると、「よろしくお願いします」とのご返事で、滞在予定時間をお伺いすると、N.N様が「(お連れ様のR.N様には)あまり時間がないので、30分程度でお願いします」とおっしゃられました。
そこで、通常の長編DVD映像(15分間)ではなく、2階のボタン式映像(砂糖の製造工程,3分40秒)のご視聴を交えさせて戴いて、「帯広製糖所模型」、「ビート模型」、「12種類のお砂糖」に限定してのご案内をさせて戴きました。
「帯広製糖所模型」では、「帯広製糖所を背景として黒煙を吐き出して走行している十勝鉄道の白黒写真」をAIによってカラー画像に変換した写真をお見せしながら、「線路の下には一面に広がっているものがありますが‥、実は、これらは全部ビートなんです」とご説明しましたところ、お二人様共に、「えっ、これビート?」と目を疑われていました。
私から、「そうです。貨車の荷台の高いところから線路下にビートを落下させているので、ビートが叩きつけられるように思われるかもしれませんが、ご安心してください、別名サトウダイコンと言われるビートなので大丈夫です。少々欠けることはあっても潰れることはありません‥」とお伝えしました。
「ビート模型」では、ビートは北海道畑作の輪作体系において欠くことができない重要な作物ですが、「寒さに強い一方で、暑すぎるのは苦手」であり、近年の地球温暖化が寒冷地作物であるビートに多大なる影響を与えている実情をご説明しました。
「12種類のお砂糖」の展示物をお見せしながら、「お砂糖の色は何色に見えますか? 一見すると白色か茶色に見えますが‥」とお尋ねすると、N.N様は既にご存じなのか「透明です」と即答されました。(正解です!) お砂糖の結晶は無色透明であり、光の乱反射によって雪やかき氷の様に白く見えることをご存じでした。
ここまでで約30分が経過し、N.N様が、「一旦退館していいですか?残りの展示物もじっくり見たいので‥、私だけ後からまた来ます」とおっしゃいましたので、「どうぞどうぞ、喜んでお待しています」とお答えし、お二人様は退館されました。
それから午後の時間帯になりまして、やや雲が出始めた13時半頃に、N.N様がおひとりで再来館されました。N.N様が午前中にご覧なられなかった長編のDVD映像(15分間)のご視聴を希望されましたので、映像展示室にご案内してご視聴戴きました。
DVD映像のご視聴後、N.N様にお伺いしますと、さとうきびにつきましてご存じのようでしたので、さとうきびとビートとの違いを主としてご説明させて戴きました。
「ビート模型」では、ビートは畑作四品目(ビート、小麦、馬鈴薯、大豆)の中では二酸化炭素の吸収量を排出量で減じた数値が最も高いことから、ビートは二酸化炭素を非常に良く吸収する地球環境に優しい農作物であることもお伝えしました。
N.N様から、「さとうきびは収穫後、すぐに砂糖が分解して還元糖(ブドウ糖と果糖の混合物)になってしまいますが、ビートは?」とお尋ねされたので、「ビートは収穫後も呼吸をしているので、若干の糖分ロスは否めませんが、さとうきびの様には激減しません。冬期間においては北海道全体が自然の冷蔵庫・冷凍庫となりますので、原料部門である農務課は温度等の貯蔵管理を徹底して行って、呼吸等による糖分ロスを極力抑えています」とさとうきびとの貯蔵性の違いをご説明しました。
「連続式滲出(しんしゅつ)塔第一号機の模型」では、さとうきびとビートとの製糖工程上における大きな違いの一つに糖分抽出法(さとうきびは圧搾法、ビートは滲出法)があり、模型とボタン式映像(てん菜細胞からの糖分抽出)をご視聴戴きながら、「さとうきびと比べてビートは組織が柔らかく、圧搾すると細胞壁が混ざり込んでろ過ができなくなるため、ビートの細胞を破壊しない様に温水で約1時間半かけて糖分抽出してます」とご説明しました。
「クレムネ兄弟写真」では、「国内初ビート糖工場となる官営の紋鼈(もんべつ)製糖所では操業当初はフランス式の圧搾法で糖分抽出を行っていました。しかし、圧搾法はその当時でも旧方式であり、糖分抽出がうまくできなかったため、ドイツ式の滲出法の設備に更新することになりました」、「その更新時に技術指導でご尽力されたのが、これらの写真のドイツ人である兄クリスチャン、弟フレデリックのクレムメご兄弟らでした」とご説明しました。
「ビートパルプ見本」では、N.N様が、「ビートからの糖分抽出後の搾りかすはどうしていますか?さとうきびのバガスは燃料としています‥」とお尋ねされ、「ビートから糖分を抜き取って搾った繊維分から飼料を製造しています。長方形型ベール(60kg)とペレット(20kg袋)のパルプ製品があり、甘い香りがするのは若干の糖液をふりかけているからです」とお答えしました。
「紋鼈(もんべつ)製糖所結晶缶の模型」では、滲出工程以降のビートからの滲出汁(ロージュース)から不純物の除去、砂糖の結晶化につきましては、「ボタン式映像(砂糖の結晶化)」をご覧いただきながらご説明しました。
すると、N.N様は「石灰やイオン交換樹脂を使うのはさとうきびの製糖工場と同じですね」とおしゃったので、「これらの工程に加えて、芽室製糖所・士別製糖所ではタイプが異なる4種のイオン交換樹脂を用いたKAAK方式による脱塩処理も行っています。この技術は当社が開発したんですよ」と付け加えました。
「12種類のお砂糖」では、N.N様から、「さとうきびからは黒砂糖などの含蜜糖をつくっていますが、ビートからは?」とご質問があり、「ビートからも含蜜糖を製造しています。当社では北海道オホーツク産のビート含蜜糖である北海道まろやかてんさい糖という製品があります」とショーケース内の製品をお見せしました。
北海道オホーツク産の北海道まろやかてんさい糖280g
(当社オンラインショップ等でお買い求めいただけます)
「砂糖の国内生産分布」では、国内における「てん菜糖(ビート)」と「甘蔗糖(さとうきび)」の生産比率はビート79%、さとうきび21%の割合である一方、「世界の砂糖生産分布図」では世界的には日本国内とは全く逆で、ビート20%、さとうきび80%の割合であることをご説明しました。
「帯広製糖所内部模型」では、帯広製糖所OBの方から寄贈して戴いた手造りの模型をご覧戴きながら、模型に添付した工程進行番号の順番に沿って、製糖工程の流れを簡単にご説明しました。
すると、N.N様から、「粗糖(茶色い原料糖)をつくっている甘蔗糖工場よりも工程の数が非常に多いですね」とのご感想を述べられましたので、「製糖工程(流送~洗浄~裁断~滲出~清浄~濃縮~結晶~分蜜~乾燥・冷却~包装)は当初から変わっていません。しかも、コスト的に現代でも通用しています。これは当初の製糖技術がいかに最初から確立されていたかを物語っています」とお答えしました。
ご説明後、当館の「ブログ」へのご協力をお願いしましたところ、快諾して戴きました。誠に有難う御座います。
お伺いしますと、「農作物の光合成」にご関心をお持ちのN.N様はビートにもご興味を持たれて、当社ホームページを見ていたところ当館をお知りになられて、今回、ご来館されたとの事です。(本当に感謝!感謝!です)
本日はご来館して戴きまして、有難うございました。
つたない説明にもかかわらず、ご視聴戴きまして、重ねてお礼いたします。
ビートについてのご認識をより一層深められましたなら、幸いでございます。
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